陽介山の投資心得ブログ

先人と歴史に学ぶ投資の考え方

本当にゴールドが10,000ドルになってほしいと思いますか?ピーター・フグが2021年のインフレ、経済、金、銀のシナリオを語る。

Peter Hug 氏が Kitco News で2021年のインフレ、経済、金、銀のシナリオについて語っています。最後の部分に含蓄を感じます。基本に忠実であることの重要性を再確認させられます。

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(ゴールド市場は12月中旬の安値から反発しました、1,900ドルの抵抗レベルを破れずにいます。どのようにポジションを配置すべきでしょうか?)

「景気刺激策案が可決されることを確信していますが、それでもまだ残っている不安が市場価格に反映されている可能性があります。本日1,890ドルに近いラインに到達できれば、クリスマス前に1,940ドルラインをうかがう展開になる可能性があると思っています。」

 

「強気相場が変わったとは思っていません。強気相場の中には常に修正があります。しかし、下落したときには、1775ドル水準が非常に堅実なサポートラインであると確信していました。短期的には市場が停滞すると人々は少し心配になり、あきらめて利益確定してしまうこともあるかもしれません。しかし本来はマクロトレンドに合わせて行動しなければなりません。私はまだメタル全般価格は高くなっていると信じています。」

 

(2021年の見通しについて聞かせてください。マクロの動向は、まだ経済成長に関わる金融政策に関心があります。重要な指標は何だと思いますか?)

「2週間前にはEU中央銀行が2023年までは緩和を続けると発表しました。今週はFRBの会合がありました。あまり多くは語られませんでしたが。パウエルは短期的には2021年第1四半期が問題になることを懸念していることは知っているでしょう。また、インフレ目標についてはかなり柔軟に対応しています。つまり、中央銀行からこれ以上の許可は得られません。それに加えて、少なくとも9,000億ドルレベルの短期的な景気刺激策が得られることは明らかです。第一四半期には、財政刺激策が行われるでしょう。そういった意味でも ゴールド、シルバーなどのハードアセットは持つべきだと思います。」

 

(最近エコノミストと話しましたが、彼はジョージア州の選挙は重要なイベントになる言っていました。)

「2つの議席民主党が取れば、バイデンは自由に事を進められるが、共和党がそれらの議席のいずれかまたは両方を取るれば政権はお手上げです。バイデンが事を成し遂げるのははるかに困難になるでしょう。市場のボラティリティが発生します。いずれにせよ、繰り返しになりますが、少なくとも2021年の前半はトレンドが変化しないのか、変化するのかを再評価する必要があります。」

 

(バイデンは何をしたいと考えているでしょう?)

「間違いなく、市場にもっと多くの財政刺激策を投入したいと思っている。インフラプロジェクトを行えば、アメリカ人は再び職に付けます。良いアイデアだと思います。中国に対する政策も逆転させるでしょう。またパリ協定を含むグリーンディールに増税によりお金を使いたいでしょう。もし、彼が上院を含めて多数派ならば 可能性はありますが、2021年には可能性がないと思います。2021年に所得税キャピタルゲイン税を上げることもできないと思います。」

 

FRBは来年2%のインフレ目標を達成できるでしょうか?)

「もう一度言いますが、経済的には、来年の第1四半期が終わる頃には、ある程度の平常の状態になると思います。FRBも世界の中央銀行も、2022年までは景気刺激モードを維持することになるでしょう。そうであれば、中央銀行は景気刺激策に遅れを取ることになるのではないかと私は疑っています。経済が回復し、需要が回復し、インフレカーブに遅れを取る場合、メタル市場のために構築された1970年代型のシナリオのようなものになるでしょう。」

 

(シルバーの話に移りましょう。2021年の30ドル、場合によっては40ドル代到達の可能性があるという意見もあります。)

「35ドルになるという声が聞こえてきている。確かに可能性の範囲内だと思います。シルバーが35ドルになっても、ゴールドが2000ドルを超えてくると、シルバーへの関心は更にが高まるでしょう。景気が回復すれば、来年はシルバーの方が有利になると思います。ゴールド・シルバーの比率は銀に有利になるように狭まると思います。2021年には、シルバーとゴールドによるポートフォリオは建設的だと思います。」

 

(シルバーとゴールドがデカップリングする可能性がありますか?シルバー価格が上がり、ゴールド価格が下がるという。)

「比率という意味では解離します。つまり、ゴールドとシルバーの歴史的な比率を見ればわかります。多くのアナリストは、歴史的な標準は、約35対1だと言っています。ですから、金が何もしなくても、銀が動けば、その比率が下がる可能性はあります。現在の比率は、70対1で、245対1になるかもしれません。これは比率の話です。ただ、あなたが聞きたいことは、例えば、ゴールドが1,900ドルから1,500まで下がり、銀が35ドルに向かって上がることがあるか、という質問でしょう。答えはノーです。それは無いと思います。」

 

(それでは、あなたの予測についての話に移りましょう。あなたはゴールドの見通しを2,000ドルとしましたが、2021年の第1四半期に到達すると思いますか?)

「確かに私の目標範囲内です。繰り返しになりますが、私はトレーダーなので、まだブレイクする価格ポイントを探しています。1,925ドルを突破する必要があります。今からクリスマスまでの間に、そのレベルに近づくことは可能だと思います。
そして、1,925ドルを突破したら、次のターゲットは心理的に2,000ドルになると思います。そこからは、おそらく高値の時を見にいくことになると思いますが、私の記憶が正しければ、それは大体2,175ドルですから、そのようなレベルには到達すべきレベルになります。いずれにせよ、1,925ドルを突破できれば、2,000ドルラインにはすぐ行くでしょう。」

 

(しかし、2020年を比較して、来年は多かれ少なかれ金融刺激策があります。)

「来年の第1四半期末までに経済が少しでも波に乗り始められれば、FRBはこれ以上のことをする必要はないと思います。来年の第1四半期末、あるいは第2四半期末までの橋渡しとして、現在話しているこのパッケージ以上の財政刺激策が必要になると思います。来年には、アメリカ人の75~80%が組合に加入することを期待しています。懸念があるとすれば財政サイドではないでしょうか。バイデンが上院で過半数を持てず、共和党が邪魔をされる環境で、政府に能力がなければ財政パッケージを作れないかもしれません。」

 

(GLDを見ていると上昇しています。1年間の20%の成長は、どの年と比べても相当なものですが、2021も同じような成長の勢いが続くことを期待できるのでしょか?)

「強気相場に入っているのであれば このレベルから20%、確かに達成可能です。一般的には、商品セクターの強気市場の非常に初期の段階にいると思います。そして、それはまた、ゴールド、シルバー、プラチナ、パラジウムにとってもプラスになるでしょう。パラジウムなんかはまだ2,300ドルという低いラインで取引されています。少なくともゴールドもそういったトレンドに沿って動くと思いますし、メタル商品のトレンドもそうだと思います。中央銀行が引き締めを開始しなければならない状況になるまでには、まだ数年かかるでしょう。

 

(ゴールドは上昇している今買うべきか?プルバックを待つべきか?私は友人や家族からいつもこの質問をされます。私はいつもあなたのビデオを見ることを進めていますが(笑)。改めて聞かせてください。 買うのを待った方がいいですか?それとも今買うべきでしょうか?)

「古臭く聞こえるかもしれませんが、私はこれまでのキャリアの中で一貫してこのビジネスを行ってきて2021年で40年を迎えます。70年代半ばからずっと聞かれてきた質問があります。貴金属をポートフォリオに入れたい理由は何ですか?ほとんどの場合、その質問には答えられませんが、一般的には、私は70年代に戻って、証券マンとして他人のお金を管理していた時に教わったことがベースになっています。バランスの取れたポートフォリオの文脈の中で、流動資産、つまりそれはゴールドかもしれないし、シルバーかもしれないし、工業用金属かもしれない。或いは石油かもしれない。あなたのポートフォリオには、ハード資産の構成要素が必要です。しかし、それだけで終わせずに、半年ごとであろうと1年ごとであろうと、ポートフォリオを再調整する必要があります。人々がこれを適切に行っていないことは最大の問題だと思います。ポートフォリオの再調整を行えば、人生を通じて調整を行うことができます。金属が急上昇した場合には、おそらくポートフォリオの全体の何%かを占めることになるでしょう。おそらく、金属はあなたのポートフォリオの中で、あなたの目標よりも高い割合を占めることになるでしょう。そのような状況では、あなたはそのポジションの一部を売却し、その逆もまた然りです。金属であれ、株式であれ、債券市場であれ、バランスの取れたポートフォリオのアプローチが必要です。もし、ある人が私のところに来て「金を買いたいんだけど、ゴールドは2倍になると思うから」と言ってきた場合、私が説明できるのはこれだけです。「そうですか。カジノに行きなさい。」。そうかもしれませんが、そうではないかもしれません。1978年以来、アナリストたちは、金は1万ドルになると言い続けています。でも500%の上昇を期待して買うわけではないのです。私は投資として見ているのです。あなたのポートフォリオの一部として考えるべきです。ゴールドは1オンス1万ドルまで上昇するはずと言いたいのなら、私のコメントに耳を貸さないことを強くお勧めします。」

 

(1万ドルになるには何が必要・・・?)

「それの答えが経済にとって何の役に立つのか。私がカンファレンスに行く際、時々防弾チョッキを着なければならないことがあります。彼らは問答無用にベアマーケットではなくブルマーケットの話を聞きたいのです。投資家の観点から話すことがとても難しくなります。しかし私は人々に言います。あなたはゴールドが1万ドルになってほしいのですね。システム全体が崩壊すればそうなりますね、と。金融システム全体が崩壊した状態を想像してみてください。ゴールドバーを持っていても、発電機にガソリンが必要だったり、食料が必要だったりします。隣人の家に行って、1オンスの金塊を差し出せば、ガソリンや食料をくれると思うでしょう。そうですね、それは結構です。何かと物々交換しないといけませんしね。ただ、 これは、ハルマゲドンの話です。金融システム全体が崩壊してしまったとうい前提の話です。なぜ、ゴールドが1万ドルや2万ドルなってほしいのでしょうか?それは、他のすべてのものを所有しているからです。不動産、401kなど。100%ゴールドを持っているのも素晴らしいことだとも思いますが、それは大きなギャンブルです。」

 

引用元

youtu.be